Twitter運用の相談をしたいと言われた際のアポの事前準備項目と、ジャストアイデアの提案内容
なにかBtoC向けの事業やサービスを立ち上げたりすると、広報用にとりあえずTwitterアカウントを取得することは一般的になっています。立ち上げ当初はとりあえず行き当たりばったりで、立ち上げた本人がそのまま運用していたりするのですが、しばらくすると運用を「誰かに依頼したい、アウトソースしたい」となってくることが多いです。
ですので今回は、依頼される側の広告代理店やデジタルマーケティングエージェンシーの目線で見ていきたいと思います。
ちなみに、依頼する側は、
- SNSなどのTwitterに詳しい
- その事業やサービスのテーマに詳しい
という人に依頼をしたいと思います。そんな時、あなたに「話が聞きたい」とお声がかかった場合「頼りになりそう」と思ってもらう必要がありますね。
2の条件については、元からどれだけ詳しい分野か、というポテンシャルが必要ではありますが、事前にある程度調べて準備していくことはできます。
今回は、「スポーツチームのTwitter」という想定のもと、事前準備項目を考えていきましょう。
質問事項(ヒアリング項目)
ただ一方的に自分の知識を喋るだけでは、先方の正確なニーズを汲み取ることができずにそのアポイントが終わってしまい、結果、的を射た提案をすることができません。的を射た提案をするためには、的を射た質問をすることが必須です。
なぜTwitterやろうと思ったのですか?
まずは「そもそも」のこの質問です。先方がTwitterをなんとなく立ち上げていたとしても、そのなんとなくの中にも必ず理由があります。例えば以下のような理由が考えられます。
試合当日の様子をリアルタイムで発信していきたい
このような理由があったとすると、あなたは試合当日に稼働できる体制を提案する必要がありますし、リアルタイムに発信する情報にそんなに価値(ニーズ)があるのかを検証する必要があります。もしも、それが求められている情報ではないのならば、その稼働を別のところへ回す提案をした方がいいでしょう。
選手のオフショット動画を発信したい
こんな理由があった時に「あ〜それいいですね!」というリアクションだけで終わらないようにしましょう。この質問の目的は、「言われた要望をそのまま受け入れられるかどうか」を知るためのヒアリングではありません。
動画を発信したいのならば、そもそもTwitterではなくYouTubeの方がいいかもしれませんよ?という提案や、YouTubeに動画をアップして、それをTwitterで情報を通知する方法がベストです!というような、目的にあった提案をしましょう。
上司にTwitterやれと言われた
このケースも実際の現場では多々あります。この場合は、上司に報告するための「いい結果」作りの提案をすると先方は喜ぶでしょう。例えばフォロワー数やRT、いいね数を増やす施策などです。
ビジネスのゴールはなんですか?
この質問も必ずしましょう。そうでないと最終的にどこに向かってTwitterを運用していけばいいのかの指針がクライアントとそろいません。
また、なんとなく分かるでしょ!というビジネスを展開されている場合は、そんなことも分からないの?と思われないように、「ビジネスのゴールはなんですか?チケット販売とかですか?」というように、○○○○とかですか?と付け加えましょう。
この質問をすることで、例えば、チケットはもちろんだけど、ファンクラブやグッズもあるなど、Twitterを運用することによる最終着地地点を知ることができ、的を射た提案により近づきます。
他の施策も提案可能ですか?
ビジネスのゴールを聞いたあとには「ちなみに、そのビジネスのゴール(チケット販売やファンクラブ入会、グッズ販売)に繋がる施策であれば、Twitter以外にもご提案させていただいてもよろしいですか?」というように、すかさず質問をしましょう。
Twitterはあくまで目的達成のための方法の1つであり、それよりも上流工程で提案することができると、あなたのビジネスの幅が広がります。
他社事例の話
ヒアリングのアポイントの中でするべき会話の1つとして、他社事例の話があります。これをすることによって、普段からTwitter関連のトピックスに詳しい人=その界隈のプロフェッショナルの人だという印象を持っていただくことができます。
事例話のイメージを持っていただくために、いくつか、スポーツチームのTwitter運用の事例を記載します。
DAZN
- SNSで積極的にDAZNの放送内容を発信。試合開始や逆転等のライブ映像を切り取りリアルタイムに投稿する「半ライブ」状態
- リアルタイムな実況を行うために「ピッチサイドカメラマン」という専任スタッフがスタジアムにいて、スマホカメラで動画撮影し、その場で「速報」を投稿する
Jリーグ
- デジタルマーケティング戦略の1つにSNSでの映像コンテンツの積極活用がある
- 日本国内の潜在的なJリーグファンは3,000万人、しかし1年に1回でもスタジアムへ観戦に行くのは300万人しかいない
- 潜在ファンを「最初の観戦」に導く仕組みが確立されていない
- 初めて観戦するきっかけは「(既にファンである)家族や友人に誘われたから」が多い→「誘い誘われ」
- 誘い誘われをデジタルチャネル上で起こす。例えば、Jリーグアプリでペアチケットをプレゼントして誘い誘われを起こす
栃木SC
- 「#はじめての栃木SC」というハッシュタグが話題になり、観戦の第一歩のハードルを下げた
ジャストアイデアによる提案
まずはヒアリングし後日提案、という場合でも、その分野のプロフェッショナルであれば、ヒアリングしながら「こういうのとかどうですか?」という提案をジャストアイデアで出すことができます。
それに対する反応を聞くことで、的を射た提案にギュッと近づくことができますし、「これはいい、これはよくない、それをもっとこうしたい」などの意見がクライアンからあがってくれば、それはもう提案内容をその場でクライアントと一緒に作っているようなものです。
以下に、ジャストアイデアの提案例を記載していきます。
Twitterのフォロワーを増やす提案
これを指標に置くクライアントはとても多いので、喜ばれやすいお話にはなりますが、パワープレイでフォロワーを獲得するような内容もあるので、あくまで接点を持つためのきっかけであって、そこから好きになってもらえるかどうかは運用内容次第だということもあわせてお伝えしましょう。
まずは選手のファンを囲い込む
チームのTwitterよりも先に、Twitterをやっている選手がいたとすると、「その選手のサイン入りユニフォームをRT&フォローで抽選プレゼント企画をすれば、一気にその選手のフォロワーが獲得できますよ!その選手にはこの企画をリツイートしてもらいましょうね。」という提案や、逆にTwitterをやっていない選手については、「Twitterをやっていない選手のオフショットを積極的に出していきましょう!サッカー元日本代表のうっちー(内田篤人選手)も一切SNSをやっていなかったので、吉田麻也選手や槙野智章選手がうっちーのオフショットをアップして、うっちーファンをフォロワーに獲得していたんですよ。」という提案をすることができます。
次にそのスポーツ好きを囲い込む
チームの選手についているファンを、チームのTwitterアカウントのフォロワーへとしっかり誘導したあとには、少し裾野を広げて、「そのスポーツが好きな人」へターゲットを広げます。「そのスポーツをやっている人が欲しがるグッズをRT&フォローで抽選プレゼント企画やりましょう!」というように、裾のを広げる提案をしていきます。
さらに裾野を広げる
そのスポーツ好きな層へもキャンペーンを通じて、効果が薄くなってきた=リーチしきった感が出てきたら、さらに裾野を広げて「クオカードやAmazonギフトカードが当たるプレゼント企画やりましょう!」で、一気に潜在層へアプローチする提案を行います。
インフルエンサーを使う
起用するインフルエンサーのサイン入りの私物が当たる!プレゼント企画。Twitterアカウントから今月中に告知があるよ!というように、いつ実施されるかは言わず、フォローして待っていただくのがポイント。
可愛い動物を出していく
やっぱりみんな大好き猫や犬は強いですね。ネット上でもシェアされやすい最強コンテンツの1つです。インフルエンサーもヒカキンさんやげんじさんのように、より裾野を広げるために猫を飼う方も増加しています。
Twitter広告を出稿する
これはまた別の記事で詳しく解説したいと思いますが、Twitter広告まで同時に提案ができると、より詳しい印象を持っていただけるでしょう。
SNS広告は入札制であり、条件によっても変わってくるため、「だいたいTwitter広告っていくらかかるの?」という質問に答えにくいところがあります。しかし、以下のコスト感をお伝えした上で、条件によって変わりますよ!ということをご理解いただければ、そう大きくはずすことはないでしょう。
Imp(インプレッション)単価:0.2〜0.5円
クリック単価:50〜200円
フォロー単価:80円〜300円
最後に
具体的なTwitterのフォロワー獲得テクニック含めて解説していきましたが、ヒアリングで大切なことは、「やって欲しいこと」をただ鵜呑みにするのではなく「なぜそれをやって欲しいと思っているのか」ということをお聞きした上で「それだったら、むしろこの方がいいですよ。」というような本質的な提案をすることです。
ヒアリングのアポイントは、頼りになりそうという印象を持っていただき、かつ的を射た提案をするために大切な時間ですので、しっかりと準備をしましょう。