デジタルマーケティング研究室

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SNSの費用対効果を可視化するために絶対整えるべき3つの条件

SNSの費用対効果問題を考える。何万リーチしました!以上!は問題外
事業会社に属するデジタルマーケティング担当者や、web担当者、SNS担当者といった方々の悩みの種でもあるSNS運用。明確な成果が見えにくく、なおかつ、獲得したフォロワーやリーチ数そのものの評価指標が曖昧で分かりにくいといった悩みがあります。

なので上司に、Twitterで1万リーチ獲得しました!と報告したところで、上司からすると「で、それって良かったの?悪かったの?費用対効果は?」という反応になりますよね。

 

 明確な費用対効果とは

「購入」や「会員登録」といったコンバージョンがオンライン上に設計されている場合は、Twitterで1万リーチ獲得し、そのうちの100人が商品ページへアクセスし、その結果商品が5個売れた。というように、仕掛けに対する結果を明確にすることができます。

 

具体的に言うと、Twitter1万リーチ獲得するために、Amazonギフト券5,000円分が当たるプレゼント企画を実施したとすると、原価(コスト)は5,000円。
5つ売れた商品が1個4,000円で、利益率が25%だとすると、獲得した利益は、

5個×4,000円×25%=5,000円

ということで、投資額5,000円に対して獲得利益5,000円(ROIは100%)となります。収支としてはトントンですが、新規獲得した顧客の一定数はリピーターとなることを考慮すると、広告宣伝費を投資してでも実施すべき施策であるということが報告できます。

 

しかし、SNSの結果を数値的にこんなに綺麗にアウトプットして結論付けることができるケースは限定的です。大体の方が、こんな風にならないよ、とお感じになられたのではないでしょうか。

 

明確な費用対効果を得るためにすべきこと

それでは、運用する担当者ご自身も、そして報告を受ける上司も、みんなが納得感を持てるSNSの運用について考えていきたいと思います。

 

1.SNSの目的を定める

まずは絶対にこれです。これなしに初めてしまうと、情報発信にせよ、施策にせよ、SNSを使う1つ1つの行動の判断軸がなくなってしまいますし、何のために運用しているのかといったモチベーションも保つことができません。また、担当者や上司との評価軸がなくなってしまい、良い・悪いの判断が属人的になってしまいます。

 

 2.オンライン上のコンバージョンを設定する

 これがどういうことかと言うと、上記で説明したように、SNSで1万リーチ獲得したら、オンライン上で商品が5個売れたから費用対効果は…ということを可視化できるようにするための作業です。

もともとビジネスのゴールがオンライン上に設定されている事業の場合は、とても分かりやすいですね、例えばECサイトです。オンライン上で商品を売って、お金をお支払いいただくので、そこがコンバージョンと設定されるわけです。

では、ビジネスのゴールがオンラインには存在しない場合はどうするか、これはSNSに限らず多くのマーケティング担当者、Web担当者が抱えている悩みだと思います。

リアル店舗に行ってそこではじめて商品が購入され、お客様にお金をお支払いいただくケースや、営業マンと直接会話をした上で契約するようなケースなど、オンライン上にビジネスのゴールが設定されていないケースの方が多いのではないでしょうか。

この場合は、購買プロセスの中のいずれかのフェーズにオンライン上のコンバージョンを設定しましょう。 例えば、リアル店舗へ行くための「予約」をオンライン上でできるようにする。「資料請求」をする。「お見積りを依頼」をする。といったことをWebサイトから可能にする機能を実装するのです。

 

2-1.「オンライン上のコンバージョン」から「ビジネスのゴール」のコンバージョンレートを出す

これは上記2の中で、オンライン上にビジネスのゴールがなく、購買プロセスの途中のフェーズをコンバージョンに設定する場合に行う必要がある作業です。

この作業がどういったことかというと、リアル店舗を「予約」した場合は、ドタキャンやバックレというような「予約」から「購買」に至るまでに離脱する見込み客が出てくるので、1件の「購買」を獲得するためには、何件の「予約」が必要なのかを普段の営みの中からはじき出します。

また、「資料請求」や「お見積り依頼」も同じです、そのコンバージョンが何件入ると、1件の「購買」が獲得できるのかといった、コンバージョンレートをしっかりと設定しておくことで、○件のコンバージョンを獲得したから、○件の購買に繋がったという成果を導き出すことができます。

 

3.SNSからの流入とコンバージョンを紐付ける

そして最後にこれです。コンバージョンが確認できても、それはSNS経由なのか、検索経由なのか、どこから獲得した見込み客がコンバージョンしたのかが分かりません。

GA(Googleアナリティクス)でリファラーを見ると、SNSからどのくらいの流入があるのかを見ることはできますが、それでは確実ではありません。

しっかりと技術的な実装をして「SNS→Webサイト→コンバージョン」を一連で紐付けられるようにしてください。

SNS広告を出稿すると、広告経由のユーザーが何件コンバージョンしたかを計測できるようなツールがSNSから提供されていますが、普段のSNSからの情報発信ではそうような機能はSNSから提供されていません。

Webサイトの制作・運用でお付き合いのある会社へ依頼をして実装しましょう。

 

最後に

 上記でご説明した1〜3を行うことで、SNSを通じて「いくらの投資に対していくらのリターンがあったか」というROIを明確にすることができ、SNSの目的も定まっているので、関係者が同じ目線で評価や考察を行うことができ、みんなが納得感を持ることができるのではないでしょうか。

また、上記の2〜3を設定するのが困難なビジネスもあります。この記事を読まれている方の中でも「ん?うちのビジネスだと難しくない?無理じゃない?」と思われたと思います。

例えば、小売店で販売するような食品メーカーの場合、「商品のチョコレートを売るためのコンバージョンを購買プロセスの途中に設定しろと言われても...」となることは重々承知しております。

こういった方向けのSNS活用についてはまた別の機会に解説したいと思います。